2009年3月5日木曜日

茂照庵で雛祭り

時代物の雛人形が並ぶ
国登録有形文化財の山の家「茂照庵」
100年前に建てられたという山の家「茂照庵(もしょうあん)」は、おくどさんの残る昔ながらの建物。国登録有形文化財の京都府福知山市上小田六十内(むそち)茂照庵に行った。
山里のひな祭りとして桐村家住宅では3日から雛人形の特別展が始まった。
展示するのは、桐村家住宅を受け継ぐ桐村さんのコレクションの一部だ。
雛飾りを展示するのは5年ぶりことで、毎回注目を集める段飾りは、単に並べるだけでなく、今年は雛人形たちが雅楽と舞を楽しむ場面を作り出すなど、工夫した見せ方をしている。
母屋に入る前に別棟で記帳を済ませる京都・大徳寺が名付けられた茂照庵桐村家住宅のなかへ入ると、丁寧なあいさつを頂戴し上がらせて頂いた!
まず、伏せ籠(ふせご)江戸時代、小袖が伏せて香をうつしていた…
段飾りは大正時代の三菱財閥最盛期の総師・岩崎小弥太氏が、夫人の雛として京人形司の5世大木平蔵氏(1886-1941)に特注として制作させた「童子雛」である。各地に散逸していたものを桐村さんがこつこつとそろえ直した。
かわいらしい童の人形たちは、顔の表情だけでなく、しぐさも愛らしい。また衣装や道具類まで手の込んだ造りになっており、点数も多くて飾り付けるだけでも数日がかりになるという。玄関はかがんで入る
昔からの建物、梅が綺麗だ!このほか2階には渉成園での人間国宝、人形作家・林駒夫氏の作品もあった。奇遇であったが茂照庵の桐村さんにお尋ねすると林氏は何度となく六十内には来るという。
江戸時代の源氏図びょうぶ(六曲一双)や享保年間(1716-1735)に作られた享保雛、安産を願う飾り犬筥(いぬばこ)、貝合わせの貝なども展示している。
「人形や道具類は繊細で壊れやすく、今の時代では修繕がきかないので、展示品には絶対に手を触れないようにしてほしい」と話している。現に毛髪を修繕したが、不釣合いと桐村さんは話していた!9号線から見た六十内
100年前の建物で手伝われる人たちと茂照庵の桐村さんは昭和10(1936)年生れだが壮健である!
自ら3人のお子たちのも恵まれ、いまは眼科医の病院オナーでもある。
小さい頃からの人形好きが高じて、出会いがあればまた一つ買い求めていたと仰る。 長年のうちにお人形がたくさん集まってきて、子どもたちが増えたようで可愛い…という。
童子雛桐村さんは「私には1歳で亡くなられた長男がおると…中々その悲しみが忘れられない、そんなある日、長男とそっくりのお雛さんとであった」という。
それが三菱財閥の岩崎さんに所縁があるという。
「可愛い中にも気品さ、特に内裏さまに心惹かれ求めた。お出しすると息子が戻ってきたようです」と話した。
もともと「丹波漆」を扱った旧家で、漆かき道具も展示していて初代次郎衛門より6代目だ。
漆商だった桐村家の母屋や蔵を、桐村さんが亡くなったご主人(眼科医)をしのんで、京都・大徳寺の立花大亀御老師が名付けられた山の家は「茂照庵」。 細部にまで心が配られた段飾り、江戸時代の素朴な立ち雛など、さまざまな人形を鑑賞して至福のひと時だった!

「茂照庵」
場所:京都府福知山市上小田196
電話:0773(33)3931(春の公開時のみ)
開館時間:午前10:00~午後3:00
公開時期38春季限定特別公開
入館料:入場無料

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