「かにかくに碑」の前で、芸舞妓さんが白菊を供え、静かに手を合わせ献花した。芸舞妓さんの献花がはじまると僅か15分~20分間に報道関係や多くの写真愛好家や観光客らが、しきりにカメラのシャッターを切っていた。
歌人・吉井 勇(1886~1960)は、鹿児島藩士吉井友実(伯爵)の孫として東京に生まれた。1933(昭和8)年結婚し高知の山里に隠棲、4年後再婚、翌年京都に移住、晩年は爵位(しゃくい)を返上し隠居、北白川周辺に住み祇園に通ったといわれている。
当時、白川の両岸に茶屋が建ち並び、建物の奥の一間は川の上に少々突き出ており、「枕のしたを 水のながるる」はそのものの情景を詠んでいる。1910(明治43)年に吉井勇が詠んだ一首で、歌集「酒ほがひ」に収められている。
祇園花街を愛してやまなかった彼(勇)の感性を感じさせるものでもあり、風情のある石畳を歩いて文人たちの粋を感じ、白川の流れの音もどこか風流に聞こえてくるようだ。勇の古希(70歳)を祝って、彼と親しかった谷崎潤一郎や堂本印象、湯川秀樹博士等が発起人となって、1955(昭和30)年11月8日に歌碑が建立された。
歌碑のある場所は、四条通りから大和大路を北へ白川を渡って石畳の道を東へ行った白川巽橋のすぐ側、南側にある。広辞苑によれば、「かにかくに・・・」とは、「このように。とやかくと。あれこれと。かにもかくにも。」言う意味という。
<かにかくに祭>
開催場所:東山区祇園白川通り
開催日時:11月8日 午前11:00
お問合せ:075-561-1115
交 通:京阪電車「祇園四条駅」から徒歩5分
市バスあり
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