東山の知恩院で、恒例の梵鐘の試し突きがあり、復興の願う鐘が響き渡った。
知恩院は、浄土宗総本山の寺院で山号は華頂山(かちょうざん)、開基は法然上人で本尊は法然上人像を本堂に祀っている。
東大路通の山門を潜ると正面に高さ24m、幅50mの知恩院三門(国宝)、木造の門としては日本最大級の堂々とした勇姿が見える。三門を潜り本堂の御影堂へ参るには、眼の前の急な石段「男坂」を登るか、右手にある緩やかな坂道の「女坂」を登るかだが、石段は急勾配なので、体を気使う方は「女坂」を奨める。
大鐘楼は、宝仏殿裏の石段を上った小高い場所に建っている。
27日午後2時から、日本最大級の梵鐘は、年の瀬の古都に重厚な音を響かせ一足早く除夜の鐘の試し撞きが行われた。 試し撞きを一眼観ようとする観光客や市民、写真愛好家らに梵鐘の四隅は埋め尽くされた。
僧侶が全身を使い、鐘を突く「除夜の鐘」の試し突きは午後2時から始まった。「えーい、ひとーつ」「そーれ」の掛け声に合わせて、撞木に結ばれた子綱を僧侶16人が一斉に引き、親綱1人を持つ僧が仰向けにぶら下がるようにして力強く鐘を撞いた。満身の力を込めて突いた鐘の音は、周囲に染み渡るように鳴り響いた。
締めくくりに連打すると、大鐘楼を囲んだ数百人の人々から大きな拍手が起きた。除夜の鐘の本番は108回という鐘を撞くが一年間に作る煩悩の数といわれている。この一年間の煩悩を、鐘を撞くこと、音を聞くことによって払いのけ、清らかな心になり新年を迎える。
知恩院の梵鐘(重文)は1636(寛永13)年の鋳造・青銅製で口径2・8m、高さ3・3m、重さ約70tもあり京都七条の方広寺や奈良の東大寺の鐘と並び日本三大梵鐘に挙られている。梵鐘には「南無阿弥陀仏」の名号と「霊巌」の名前以外、鋳造の来歴や鋳造の功績の記録もなく、あとの論難・災いを避けるため霊巌上人の配慮とされているという。
除夜の鐘を突く模様は大晦日31日午後10時40分から撞き始め、テレビ番組中継でも紹介されている。ことしは春・東日本大震災や、秋・台風12号で犠牲・行方不明の方が多数おり鎮魂と復興の願いを込める。年越しの風物詩、師走の古都に“除夜の鐘の試し突き”が深く鳴り音が響き渡った。
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