奈良県に隣接する山村で加茂・当尾には、中世のころ多くの僧が都を離れて居住し修行に専念していたという。歴史のある岩船寺と近くには九体阿弥陀仏で知られる浄瑠璃寺がある。また、点在する社寺の間を結ぶ道端には石塔・石仏(自然の岩壁に刻んだ磨崖仏)が多く見られ、それら総称して”当尾石仏群”と称している。中には鎌倉時代の年号を刻んだ石仏もあり、これらを見て歩くハイキングコースがある。
「岩船寺」の存在を示す最も古い記録は、寺の西方にある岩船不動明王磨崖仏(通称一願不動)の名で知られているが、そこには1287(弘安10)年の年記とともに「於岩船寺僧」の文字がみえる。右に折れる道を下っていくと大きな岩に線刻された「不動明王立像」の磨崖仏に至る。
急傾斜の手すり付きの岩道がしばらく続いて、右半身が不自由なぼくには難儀だったが同行していた2,3人の方たちがサボートしてくれ感謝である。なおも急斜面の下り坂が続くやがて、「わらい仏」の案内板のある三つ角に差し掛かった。
「わらい仏」は、当尾の石仏の中で最も知られた阿弥陀三尊像で、右に観世音菩薩、左に勢至菩薩を従え、浄土への来迎を示しているとされる。わらい仏の左横に「ねむり仏(地蔵石仏)」、ボランティアの解説によると、この石仏は永い間土の中で休んでいて、「ねむり仏」の名が付いたとのことだ。
わらい仏とねむり仏を見てからは急斜面の手すり付きもなく下り道であった。
左側に「からすの壷」がある(「からす」とは、烏ではなく、「唐臼」の意味)。
右側正面に「阿弥陀如来坐像(1343年)」がある。阿弥陀仏の横には、線刻の灯篭や火袋に灯明を供えることができると話してくれた。また左側面に「地蔵菩薩立像(1343年)」が彫られているが注意しないと見落とかねない。
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