今日にデビューする菜乃葉ちゃんは、黒紋付に身を固め緊張の面持ちだった。
置屋・多麻さんの菜乃葉ちゃん。
舞妓さんになるまで「お仕込み(約一年)」と呼ばれる期間に、言葉・立ち振舞い・作法など、舞の芸事の習得をするという。
正装の黒紋付と扇子を持ち、菜乃葉ちゃんは「一力亭茶屋」から出てきた。
手伝いをしながら、花街の知識、言葉、基礎的な舞を習得し、お師匠さんに認められて、やっと舞妓になれるという。
置屋が食事、着物、お稽古代、おこずかいなどの全て出費し、一人前の芸妓さんになるまで生活するという。
男衆さんと共に菜乃葉ちゃんは、「おかぁ~さん、どうぞよろしゅ、おたのもうします」と丁寧に頭を下げた。
多麻さんの菜乃葉ちゃん、これからの技芸向上を誓った。
白川巽橋でぽっくりの音も軽やかに、男衆さんとご贔屓筋に廻って挨拶をした。
菜乃葉ちゃんの髪は「われしのぶ」という髪型で、襟(えり)の色は赤紅を下唇だけにさした。
菜乃葉ちゃんのお店だしがあり、それを取り巻くカメラマンたちの一団で、嫌が上にも熱が上がって混雑になった。
舞妓さんの菜乃葉ちゃん、僅か15、16歳で大人びた顔をしていた。
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