松尾大社は平安遷都以前からの神社で、平安期は賀茂神社と並び王城守護の社として大切にされた。室町以降は境内亀ノ井の名水が酒に変った逸話もあり、松尾大社は酒造の神として知られる。また近畿一の八重咲きヤマブキの名所としても知られておる。
鮮やかに黄金色に輝いた花は、新緑の葉とともにひときわ人目を引きつける。
花の匂いはバラ科特有な高貴な香り、その優雅な姿と共に、つけられた花言葉は崇高(すうこう)と気高い。
幼いころ、故さとの実家にヤマブキの垣があり小枝にメジロやヒヨの野鳥が囀っていたことを想い出す。当時、ヤマブキの枝の髄を取り出し、竹鉄砲の弾にしてあそんだ記憶もありいま想うと懐かしい・・・。
室町時代の武将で、江戸城を築城したことで名高い太田道灌(おおたどうかん)は、鷹狩りに出かけた。折りしも雨に降られ、貧しい家を訪ね蓑(みの)を貸してくれるよう頼んだ!
若い女は無言でヤマブキの花を一枝差し出したという。花を貰いに来たのではないと道灌は立腹、怒って帰った!
後日、この話を聞いたある人が、「八重ヤマブキの花に実のならないことを、我が家に“蓑”が一つもない侘びしさに掛けて、風情ある古歌の心で伝えようとしたのだ」と道灌に教えたという。その古歌とは、
『七重八重 花は咲けども 山吹の みのひとつだに なきぞかなしき』
後に(兼明親王「後拾遺和歌集」)道灌は無学を恥じ、これより歌道に励んだという。現在、品種は「一重(ひとえ)」「八重(やえ)」「菊咲(きくざき)」の三種類で、八重咲き型が観賞用に好まれている。庭園(※有料)では、珍しい”シロヤマブキ”が咲いている。
さわやかな春風の中、山吹色の花が風にゆらゆら揺れる様は新鮮な春の息吹が感じ、訪れた参観者たちは境内の黄金色に輝く八重ヤマブキの花を愛でていた。
<松尾大社・ヤマブキまつり>
・住所:京都市西京区嵐山宮町3 電話:075-871-5016
・境内参拝自由:5:00~18:00
※庭園拝観時間:9:00~16:00(休日は17:00まで) 大人500円の有料。
・交通:市バス28番・京都バス73番で松尾大社前下車すぐ。
阪急電鉄嵐山線松尾下車すぐ
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