金福寺は、臨済宗南禅寺派で号は佛日山(ぶつにちさん)という。
「一乗寺下り松」と言えば、かの有名な宮本武蔵が吉岡一門と決闘をした辺り、東方に比叡の山が聳えている。金福寺の表門は大きくなく、石段を上る山門があり右手が庭園となる。平安初期の貞観6年(864)、慈覚大師・円仁の遺志により創建し、大師自作の観音像を本尊として安置した。
天台宗の寺院であったがその後、一時期荒廃していた。
江戸中期の頃、鉄舟(てつしゅう)和尚が再興し、臨済宗南禅寺派となり現在に至っている。その頃、鉄舟和尚は、俳人の松尾芭蕉と親交があったことから芭蕉がよく訪れていた。その後、和尚は庵を「芭蕉庵」と名付けたと言われる。
この庭園は東の高台(後丘)に芭蕉庵があるが後に荒廃するという。
70年ほど後、与謝蕪村(よさぶそん)は芭蕉を慕って金福寺を訪れたが「芭蕉庵」の荒廃に歎き再興した。蕪村は、庵を再建した後は一門とともに訪れて句会を開いたという。その縁で、境内に蕪村の墓地があり68歳で京都で没した。
蕪村は芭蕉没後、俳壇に新風を吹き込み「俳諧の中興者」といわれている。
多くの俳人が愛したのであろう、蕪村の弟子・江村月居、吉分大魯、呉月渓や画家の呉景文、森川曽文なども金福寺で眠っている。
また、金福寺の左手入口には“村山たか女”が寄進した弁天堂がある。
村山たか女は彦根城主・井伊直弼(いいなおすけ)の愛人であった。
直弼は江戸で44歳のとき、大老職に就任した。
幕府は、将軍の世継ぎ問題や開国問題で揺れに揺れていた。
この時、反幕府勢力(攘夷派)の弾圧が実行された。“安政の大獄”である。反幕府勢力の動静を探り、その情報を長野主膳を通じて幕府(大老)に密報を集める密偵(スパイ)をかってでていたのがたか女である。
少しでも役立ちたいと直弼を恋慕う村山たか女は、やがて、この弾圧の反動を受け、万延元年「江戸城桜田門外の変」で攘夷派の先鋒・水戸藩士により井伊大老は暗殺された。村山たか女も、勤皇の志士捕らえられ、京都三条河原で生晒(いきさらし)にされたが3日後女僧に助けられた。たか女は、女僧となって金福寺に入り、名を「妙寿」と改め14年のあいだ直弼の菩提を弔った。
なお、たか女のお位牌、筆跡、遺品など伝わっているとともに詣墓がある。本墓は約400m北にある圓光寺境内の墓地にある。
また弁天堂・舟橋聖一作の「花の生涯」のヒロイン村山たか女(妙寿尼)は、明治9年9月30日金福寺に於いて67歳の生涯を閉じた。
高台の芭蕉庵からは西山連山が望め、紅葉も美しい。
眺めていると野鳥の囀りしか聞こえない静けさで心が落ち着く。
<金福寺>
京都市左京区一乗寺才形町20
TEL075-791-1666
交通:市バス「一乗寺下り松町」下車、東へ徒歩約6分
叡山電車「一乗寺」下車、東へ徒歩約9分
天台宗の寺院であったがその後、一時期荒廃していた。
江戸中期の頃、鉄舟(てつしゅう)和尚が再興し、臨済宗南禅寺派となり現在に至っている。その頃、鉄舟和尚は、俳人の松尾芭蕉と親交があったことから芭蕉がよく訪れていた。その後、和尚は庵を「芭蕉庵」と名付けたと言われる。
この庭園は東の高台(後丘)に芭蕉庵があるが後に荒廃するという。
70年ほど後、与謝蕪村(よさぶそん)は芭蕉を慕って金福寺を訪れたが「芭蕉庵」の荒廃に歎き再興した。蕪村は、庵を再建した後は一門とともに訪れて句会を開いたという。その縁で、境内に蕪村の墓地があり68歳で京都で没した。
蕪村は芭蕉没後、俳壇に新風を吹き込み「俳諧の中興者」といわれている。
多くの俳人が愛したのであろう、蕪村の弟子・江村月居、吉分大魯、呉月渓や画家の呉景文、森川曽文なども金福寺で眠っている。
また、金福寺の左手入口には“村山たか女”が寄進した弁天堂がある。
村山たか女は彦根城主・井伊直弼(いいなおすけ)の愛人であった。
直弼は江戸で44歳のとき、大老職に就任した。
幕府は、将軍の世継ぎ問題や開国問題で揺れに揺れていた。
この時、反幕府勢力(攘夷派)の弾圧が実行された。“安政の大獄”である。反幕府勢力の動静を探り、その情報を長野主膳を通じて幕府(大老)に密報を集める密偵(スパイ)をかってでていたのがたか女である。
少しでも役立ちたいと直弼を恋慕う村山たか女は、やがて、この弾圧の反動を受け、万延元年「江戸城桜田門外の変」で攘夷派の先鋒・水戸藩士により井伊大老は暗殺された。村山たか女も、勤皇の志士捕らえられ、京都三条河原で生晒(いきさらし)にされたが3日後女僧に助けられた。たか女は、女僧となって金福寺に入り、名を「妙寿」と改め14年のあいだ直弼の菩提を弔った。
なお、たか女のお位牌、筆跡、遺品など伝わっているとともに詣墓がある。本墓は約400m北にある圓光寺境内の墓地にある。
また弁天堂・舟橋聖一作の「花の生涯」のヒロイン村山たか女(妙寿尼)は、明治9年9月30日金福寺に於いて67歳の生涯を閉じた。
高台の芭蕉庵からは西山連山が望め、紅葉も美しい。
眺めていると野鳥の囀りしか聞こえない静けさで心が落ち着く。
<金福寺>
京都市左京区一乗寺才形町20
TEL075-791-1666
交通:市バス「一乗寺下り松町」下車、東へ徒歩約6分
叡山電車「一乗寺」下車、東へ徒歩約9分
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