大津祭は天孫(てんそん)神社の祭礼で8日に宵宮、9日に本祭が行われた。
13基の曳山が午前9時ごろから滋賀県庁近くの天孫神社に集合し、コンコンチキチンの祭囃子を響かせながら巡行を練り歩いた。
天孫神社の奈良時代782(延暦元)年に創建され、祭神は彦火々出見命(ひこほほでのみこと)大名牟遅命(おおなむちのみこと)国常立命(くにことたちのみこと)帯中津日子命(たらしなかつひこのみこと)の四柱を祀っている。
朝廷からも崇敬される存在で、806(大同3)年、平城天皇が近江に行幸の際、当社を行在所として禊祓され近江国四之宮としても広く信仰された。
その後、1586(天正14)年、豊臣秀吉の命で浅野長政が大津城を築いた際、城の鎮守社として余材で社殿の造営が行われた。昔の人々は近江の国には神徳の厚い社があって由緒には数々あるが、一之宮が建部大社、二之宮が日吉大社、三之宮が多賀大社、そして四之宮が天孫神社である。江戸時代までは四之宮神社であったが明治時代に入り、現在の社号に改められたという。
大津祭は江戸時代のはじめ、鍛冶屋町の塩売り治兵衛が神社の祭りの日に“タヌキの面”をかぶって踊り、次第に屋台をつくって担ぎ歩いたのが始まりとされている。1638(寛永15)年からは三輪の曳山をつくり、やがて元禄・安永年間、現在の曳山に整えられたという。
市内を巡行する13基の曳山は、ゴブラン織や装飾金具に飾られている。いずれも江戸時代中期までに建造されたもので京都の祇園祭の影響を強く受けているとされ、織物や幕など類似点も多く囃子も鉦や笛、太鼓である。だが、大津祭の特色は曳山13基それぞれにとり入れられている「からくり」である。
祭の華であるからくりは曳山13基とほぼ同時期作られ、その動きには中国の故事や能、謡曲、神事など素材を得た筋書きがあった。不鬮取(くじとらず)の西行桜狸山を先頭に12の曳山が勢揃いした。つづく・・・
<天孫神社・大津祭>
2011年10月8日宵山・9日本祭
住所:滋賀県大津市京町3-3-36 TEL:077-522-3593
拝観自由
交通:JR大津駅下車 徒歩8分
駐車場:無料
※2012年10月6日宵山・7日本祭
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