1月6日から24日まで京都高島屋7階グランドホールでは日本画家・小泉淳作展が開催された。
平城遷都千三百年、光明皇后千二百五十年、奈良・東大寺1260余年にわたる歴史の中で、初めて襖絵が制作された。
5年がかりで40面の襖絵を描いたのは鎌倉の建長寺と京都の建仁寺に天井画を揮毫した日本画家・小泉淳作画伯で現在86歳。
本坊40面の襖絵は、荘厳の世界・命の喜びを謳う“満開の桜”や“蓮池”が描かれている。また東大寺ゆかりの聖武天皇と光明皇后の肖像画も描かれている。
1924(大正13)年、神奈川県鎌倉市の生れで、独自の表現で深山幽谷の山水画や精細な野菜・花の静物画を描いたという。また2000年以降は、小泉画伯は鎌倉市の建長寺法堂「雲龍図」、京都の建仁寺法堂「双龍図」二つの天井画を意欲的に手がけたという。
2004年、東大寺本坊襖絵、「しだれ桜」「吉野の桜」「東大寺本坊の桜」の三作は、桜の花弁が丁寧に彩色されて華麗で輝き出すような迫力が満ちていた。小泉画伯は桜の絵を今までに描いたことがなかったという。何千何万もの花びら一つ一つを描くのに大変であったとビデオで語っておられた。
16面の襖絵「蓮池」は、蓮池をそのまま室内に持ち込んだようなもので、いきいきとした蓮の花が色彩豊かに描かれておる。小泉画伯ならではの写実派の丁寧な描写である。
冒頭の襖絵、華厳の美、桜の花びらを一枚ずつ描く小泉画伯、気の遠くなるような作業・根気どの絵にも魅了される。細密な描写力もさることながら筍も蕪もその存在を主張してやまない。しっかり生きているのだと、小泉画伯は墨絵を50歳半ばから描きはじめたのである。
東大寺の本坊、襖絵の蓮や桜、聖武天皇・光明皇后の肖像は華やぐものがあるが、その中に静けさを感じるものがある。
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