1月13日、祇園甲部の花街で京舞・井上流五世家元の井上八千代さん宅に、お昼時をかねて女将さんや芸妓さん、舞妓さんが稽古始めのあいさつに伺った。
この一年の始まりを迎えるにあったて井上邸に集まり、新年のあいさつと益々技芸の上達を励んで、ともにお雑煮で祝う。これを“初寄り”と呼んでいる。
厳冬の最中、この日は11:30過ぎ、芸舞妓たちは和装姿も華やかに身を包み、髪飾りも艶やかに師匠宅へ新年のあいさつに訪れた。
師走13日の“事始め”で一年の締め括りをして、正月準備を始めた芸舞妓たちは、新年の“始業式”を終えて一と月後、再び師匠宅へ顔を揃え一層の精進を誓い、お屠蘇と雑煮で新年を祝い、師匠から励ましの言葉を受け、新たな気持ちで一年が始まった。
京舞井上流五世家元の井上八千代さんは、父を人間国宝の観世流能楽師九世片山九郎右衛門の長女として生まれた。祖母で人間国宝だった京舞井上流四世井上八千代(平成16年3月19日98歳没)に師事し、平成12年に京舞井上流五世家元を襲名した。
井上流は、寛政年間(1789~1801)に近衛家の舞指南役を勤めた井上サト(初世井上八千代)が宮廷文化を基盤に創始したという。以来二世紀の歴史を持ち、祇園甲部の正式唯一の流派で、京都固有の特色を持つ井上流を特に『京舞』と呼び、京都の年中行事となっている「都をどり」を支えているのも京舞井上流だという。
日本舞踊の「舞」の起源は「水平の動き」で、一人の人の心を伝えることから始まったという。一方、「踊り」は「垂直の動き」で、集団で始まったという。基本姿勢は、腰を落とすとともに、すり足、体の芯を残したまま回る動きだと師匠の家元がいう!
だが今は、舞も踊りも重なり合う部分が多く、舞の中にも踊りに近い部分があるという。
祇園甲部の花街“初寄り”は、1月7日の紋付に正装姿、稲穂のかんざしをさした芸妓さん、舞妓さんの始業式とは変わり、新春を感じさせるカラフルな着物衣装姿が見られる思いがした。 新門前通大和大路東入る井上邸前は約100名くらいの写真愛好家の人たちが待機し舞妓さんたちや芸妓さんが来るのを待っていた。日本文化の粋ともいえる「京都花街」舞妓さんと芸妓さんの伝統行事であった。
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